The Neuroimmune System and Disease - Publication Highlight (Japanese)

論文ハイライト

 

>> 神経免疫と疾患

 

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慢性的な痛み神経細胞は単独で生存しているのではありません。脳に本質的に備わっている複雑な免疫システムと相互に作用し合っています。これらの免疫システムには、アストロサイト、ミクログリア、オリゴデンドロサイトなどのグリア細胞があり、神経細胞発達のサポート、活動の調整、炎症の緩和、有害なデブリの除去などの役割を担っています。免疫システムは、本来疾患から体内を守ることを目的とします。しかしながら、その活性化は慢性の病的神経炎症を引き起こし、アルツハイマー、パーキンソン病、双極性障害、認知症などの神経疾患や神経精神病の原因となり得ます。本稿では、神経免疫システムの機能や疾患に対する影響の研究に、Maestro が使用された事例を紹介します。


Human microglia states are conserved across experimental models and regulate neural stem cell responses in chimeric organoids

Popova G, Soliman S, et al. Cell Stem Cell. (2021)

ミクログリアは、神経発達の初期の段階において周囲の神経細胞を変化させ、その発達に影響を及ぼします。本論文では、これらのミクログリアの役割を、3D 神経オルガノイドを用いて研究しています。

 

ハイライト:

  • ミクログリアにより細胞ストレスが軽減され、その保護機能が示された。
  • ミクログリアにより、神経ネットワーク活動の発達が加速された。
  • 培養環境によっては、ミクログリアに転写可塑性が示された。

 

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Altered neuronal support and inflammatory response in bipolar disorder patient-derived astrocytes

Vadodaria K, Mendes A, et al. Stem Cell Reports. (2021)

双極性障害は、慢性的な全身性炎症や脳内のグリア細胞集団の改変などが関与しています。本論文では、患者由来のアストロサイトと神経細胞の共培養を用いて、双極性障害に関与する炎症シグネチャーを研究しています。

 

ハイライト:

  • 患者由来のアストロサイトにおいて、特有の炎症シグネチャーが示された。
  • アストロサイトの対炎症反応は、共培養内の活動に直接影響を及ぼした。
  • 患者由来アストロサイト内においてインターロイキン 6 がアップレギュレートし、患者の血液サンプル内では上昇した。

 

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Activated bone marrow-derived macrophages eradicate Alzheimer's-related Aβ42 oligomers and protect synapses

Li S, Hayden E, et al. Frontiers in Immunology. (2020)

慢性的な神経炎症は、脳内におけるミクログリアのアミロイドβ (Aβ) 貪食機能を損傷させ、結果、アルツハイマー病などの認知症の原因となります。本論文では、神経共培養内における、Aβオリゴマーのシナプスへの毒性的影響を調べています。

 

ハイライト:

  • Aβ オリゴマーはシナプス結合を低下させ、in vitro 下での電気的な活動の改変を誘発した。
  • Aβ オリゴマーはスパイクの波形を変化させ、神経細胞の生物物理学特質の改変が示唆された
  • 活性化された骨由来のマクロファージとの共培養によりシナプスは維持され、in vivo 下にて観察される保護機能との相似が示された。

 

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Presynaptic L-type Ca2+ channels increase glutamate release probability and excitatory strength in the hippocampus during chronic neuroinflammation

Giansante G, Marte A, et al. Journal of Neuroscience. (2020)

神経炎症はシナプスの機能を改変させ、てんかんなどの障害の原因となります。本論文では、海馬グルタミン酸作動性及び GABA 性シナプス伝達に対する、慢性炎症の影響を探索しています。

 

ハイライト : 

  • 神経伝達物質放出に対するカルシムチャネルの異常な寄与により、グルタミン酸作動性シナプスの強固さと可塑性が高められた。
  • 炎症誘発の条件下における興奮性/抑制性の不均衡により、神経のネットワーク興奮性が高められた。
  • マルチエレクトロードアレイ測定により、神経ネットワークの過度な活性は、カルシウムチャネルに依存することが確認された。

 

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